中東の笛 

Nay(ネイ・ナーイ・ナイ)について

Nay(ネイ・ナーイ・ナイ)という楽器は、中東の斜め笛ですが、イラン・トルコ・アラブと地域によって形状や吹き方にやや違いがあります。

名古屋アラブ音楽同好会ネイ部ではこのうちアラブの笛を練習しています。

ペルシャネイ・トルコネイも音の出し方まではお教えすることができますので、楽器は持っているけど吹き方がわからなくて困っているという方は一度ご相談ください。

Nay(ネイ・ナーイ・ナイ)の種類

2種類のNay】

どれがアラブの笛でどれがトルコの笛かわかりますか?

トルコネイ

トルコネイは、吹き口にバシュパレという黒いサポーターが付いています。これにより、スムーズに音が鳴りやすくなります。

吹き方はアラブネイと同じです。

アラブネイ(ナーイ)

葦に表6孔、裏1孔が開いているだけのシンプルな楽器ですが、3オクターブも出すことができます。

孔は、指先の腹で押さえる方法と、篠笛のように指を曲げずに伸ばしたまま第1関節と第2関節の間で押さえる方法があります。どちらでもやりやすい方で大丈夫です。

アラブネイ(ナーイ)の種類

ネイにはさまざまな長さのものがあり、マカーム(音階)によって使い分けます。

曲の途中でマカームが変わると、ネイを持ち替えることもよくあります。


最もよく使うのはD管(ドゥカー)というネイです。

一番下の孔だけ開けたときにD(レ)の音が出るネイをD管と言います。また、D(レ)の音はアラビア語でドゥカーのため、私たちはこのネイをドゥカーのネイと呼んでいます。


基本的にD管(ドゥカー)1本あれば大丈夫です。


D管の次によく使うのはG管です。マカーム ナハワンドの時はG管を使うとシやラ♭の運指が楽で、高音も出しやすいです。

しかも高音はD管の運指と同じなので非常に使い勝手が良いです。


余談ですが、私たちネイ部が入門者用に使用しているN川氏製作のプラスチック製ネイは、D管のみだけでなくG管もありますので、ちょっと試してみたい方にもお勧めです。

ネイの名前は、一番下の孔だけ開けたときに出る音です。

A管(ラ) フセイニー

D管(レ) ドゥカー

G管(ソ) ナワ 

F管(ファ) ジャハルカ

E管(ミ) ブーサリーク

C管(ド) ラースト

B♭管(シ♭) アジャム

ネイ(ナーイ)のメンテナンス方法

日本は湿度が高いため、葦製のネイは非常にカビが生えやすいです。そのため、メンテナンスが必要です。

まずは、ネイの内側の掃除です。

支柱などの長い棒にアルコールを湿らせた綿をつけて丁寧に汚れをとります。

次に、ネイ全体にオイルを塗ることで、カビや乾燥からネイを守ります。

オイルは、色が透明に近い太白胡麻油を使用するケースが多いですが、アマニ油を使っている人もいます。

衣装ケースなどの大きな容器に油を入れ、そこにネイをつける方法は大量の油を消費してしまいます。

そのため、細長い袋や、メスシリンダー等の細長い容器があれば最適です。

ただし、持っている葦製ネイの本数が少ない場合は、アルコール消毒と同様、支柱などの棒を使うのが良いでしょう。

ちなみにこのHPの管理人は、管楽器のお手入れに使う羽根を使用しています。羽根にオイルをしみこませ、上から下から筒内に入れます。この方法はエジプトのネイ工房が動画で上げていました。

メンテナンスは1か月に1回くらいが目安です。

また、日常的なお手入れとして、ネイを使用後に筒内に残った水分をふき取るために、篠笛のつゆきりをネイ用に改良したものを使用しています。

※紐部分はネイ部員が独自に製作したもので、市販されていません。

はじめての方はプラスチック製ネイがお勧めです

上はプラスチック製ネイのD管とG管。下は葦製ネイのD管とG管。

葦製のネイはこのようなメンテナンスが必要となります。

そのため、ネイ部では初心者の方にはお手入れ不要のプラスチック製ネイを推奨しています。

汚れても水でジャブジャブ洗うだけ!

葦製ネイに比べて圧倒的に音が出しやすく、ピッチも正確なので、初めてネイを吹く方には最適です。

ただし、プラスチック製ネイは高音が弱いので、高音が出せるくらい上達したら自然と葦製ネイが欲しくなると思います。

プラスチック製ネイは、製作者のN川さんから直接購入することもできます。ネイ部でもレンタル・販売しています。

【N川氏のサイト】http://sukimonotoshiro.seesaa.net/article/466494689.html


葦製ネイは製作者によってかなり出来が違うので、プロが使用するような信頼のおける工房のものを購入しましょう。

ネイ(ナーイ)の袋・ケース

ネイを購入したら、持ち運ぶための入れ物が必要です。

プラスチック製ネイの場合は頑丈なので、薄い生地の袋でも大丈夫です。ただし最もよく使うD管(ドゥカー)のネイは60cmもあるため、市販の篠笛袋では短すぎます。

そのため、裁縫が得意な方は自分で製作したり、そうでない方は某フリマサイト等で袋をオーダーメイドで作ってもらいます。葦製のネイを入れるのなら厚みのある生地が安心です。


最近のトレンドは、ガチャガチャのねぎ袋(300円)でうまい具合に白ネギ用が当たるとプラスチック製ネイの収納にぴったりです。

ネイ部員が小ねぎ用の袋を持っているのを見てうらやましくなり、私もやってみました

しかしねぎの青い部分カバー(巾着)が当たり、当然ネイは入らないので小物入れとして使っています。

※写真は小ねぎ用

ネイの本数が増えてくると、頑丈でもう少し大きめのケースが必要になってきます。

その場合は長さが調整できる製図ケースがお勧めです。

葦製のネイを入れる場合は、キルティング生地などの袋を内袋にすると安心です。


さらに持ち歩くネイの本数が増えてきた場合、あるいは製図ケースでは使いにくい場合は、ファスナーで開くタイプのケースがお勧めです。

写真はSala Muzikのネイ専用ケースですが、その他の笛用のケースや、釣り用のロッドケースなど、大きささえ合えばどんなケースでも大丈夫です。

ネイ(ナーイ)の吹き方

ネイは斜めに構えて吹きます。

唇をすぼめ、ちょうど口笛を吹くような形にします。

ネイを唇の上から斜めに当てます。そのとき、唇の右半分にあてるようにします。

ネイを持っていない場合は、タピオカストローなどで練習することもできます。



ネイの吹き方は、プラスチック製ネイ製作者のN川さんの動画がわかりやすくてお勧めです!

ネイの吹き方をわかりやすく日本語で説明されている貴重な動画です。

ネイ(ナーイ)の練習は3段階

まずは、孔を全く押さえないで吹きます。最初は音が出たり出なかったりしますが、音が出た時の笛の角度や口の形を覚えておいて、何度も吹いてみてください。リラックスして吹くことが重要です。

音が出るようになったら、孔を一つずつ指で押さえていきます。

マカーム(音階)の音を出してみましょう。

Mahmoud Effat氏の教則本"Beginner's Guide to the Nay"の練習曲 や、Dulabなどの基礎的な曲、LammaBadaなどの曲を演奏します。

名古屋アラブ音楽同好会ネイ部では、月に一度ネイの練習会を開催しています。
一緒にネイを練習しませんか?
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※運指表などの資料をデータでお送りすることはできませんのでご了承ください。